家計の中で「見えない固定費」として膨らみやすいのが保険料です。「入っているけど中身がよくわからない」「なんとなく解約できない」という方は非常に多い。でも実は、多くの家庭で保険は過剰加入状態にあり、月1〜2万円の見直し余地があります。FPとして保険の整理をお手伝いしてきた経験から、見直しのコツをお伝えします。
1. 日本人は保険に入りすぎている
生命保険文化センターの調査によると、日本の世帯あたりの年間保険料支出は平均約37万円(月約3万円)です。これは先進国の中でも非常に高い水準です。
なぜ過剰加入が起きるかというと、主に次の理由があります:
- 「万が一のために」という漠然とした不安から複数加入
- 勧誘で断れずに加入した保険が継続されている
- 公的保険(健康保険・傷病手当・高額療養費制度)の存在を知らない
- 古い保険のまま家族構成・収入が変わっても見直していない
日本には「高額療養費制度」があり、月の医療費負担が所得に応じた上限額(一般的な年収の方は月約8〜9万円)を超えた分は公的保険が負担します。多くの民間医療保険は、この制度と重複しています。
2. 不要な保険を見分ける3つの質問
保険を整理するにあたり、各保険契約に対して次の3つの質問を当ててみてください。すべてに「YES」と答えられなければ、見直しの余地があります。
- 質問1:公的保険ではカバーされないリスクか?
病気・入院・労災は健康保険や労災保険で相当カバーされます。「入院1日5,000円」の民間保険が本当に必要かどうか、高額療養費制度と比べて検討しましょう。 - 質問2:そのリスクは「本当に起きる可能性がある」か?
自分に関係の薄いリスク(例:独身なのに死亡保障が大きすぎる)への保険は不要です。扶養家族がいない単身者に大型の死亡保険は必要ありません。 - 質問3:起きた場合に「家計が破綻するほどの損害」があるか?
保険は「頻度が低くて被害が甚大なリスク」に対してかけるものです。自己負担で十分に対応できるリスクや、貯蓄で賄えるリスクに保険は不要です。
「必要な保険」の基本は①死亡保険(扶養家族がいる場合のみ)②就業不能保険(長期間働けなくなった場合)③火災保険(持ち家・賃貸ともに必須)の3つです。これ以外は家族構成・資産状況に応じて個別判断が必要です。
3. 見直しで節約できた事例
実際にFP相談で保険を整理した事例をご紹介します。
【事例】40代夫婦(子ども2人)の保険見直し
| 保険の種類 | 見直し前 | 見直し後 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 夫の死亡保険 | 月8,000円(終身保険) | 月3,000円(定期保険) | 子どもが独立するまでの10年だけ必要 |
| 妻の死亡保険 | 月5,000円 | 月0円(解約) | 専業主婦で収入なし。貯蓄で対応可能 |
| 夫の医療保険 | 月4,000円 | 月2,000円 | 入院日額を減額。高額療養費で対応範囲確認 |
| 学資保険(2本) | 月11,000円 | 月0円(解約・NISAへ移行) | 返戻率が低く、NISAの方が有利と判断 |
| 合計 | 月28,000円 | 月5,000円 | 月23,000円の節約! |
この事例では月2.3万円(年間約27.6万円)の節約に成功しました。解約した学資保険の分をNISAに回したことで、将来の教育費準備も効率的になりました。
学資保険の返戻率は通常105〜110%程度ですが、インフレを考慮すると実質的にほぼゼロリターンです。NISAで年率5%で運用できれば、15年後の資産は同じ掛け金でも約2倍近くになります。
FPまとめ
保険の見直しは「節約」と同時に「家計を最適化する」チャンスです。不要な保険を整理して浮いたお金をiDeCoやNISAに回すことで、「守る」と「増やす」を同時に達成できます。
見直しのステップは:①現在の保険証券を全部集める → ②3つの質問で仕分け → ③FPに相談して客観的な判断をもらう、が最も確実です。保険の解約・見直しに不安がある方はぜひお気軽にご相談ください。