経済ニュース・金利

日銀が政策金利を1.25%へ利上げ
賛成7・反対2で3か月ぶり
家計へのプラス・マイナス両面をFPが解説

2026年9月23日読了約15分Life Asset FP編集部
日銀は2026年9月18日の金融政策決定会合で、政策金利を1.00%程度から1.25%程度へ引き上げることを決めました。採決は賛成7・反対2で、2026年6月の利上げ以来3か月ぶりの追加利上げです。原油高や円安が招く物価の上振れリスクを抑えることが主な狙いとされています。

当サイトの前回記事(9月9日公開)では、この会合の結果は執筆時点で「まだ判明していない」としていましたが、今回その結果が明らかになりました。

利上げは「悪いニュース」だけではありません。預金金利が上がるプラス面と、住宅ローンなど借入コストが増えるマイナス面が同時に存在します。この記事では、確認できた最新情報にもとづき、金利上昇のプラス面・マイナス面を両方フェアに整理します。

何が決まったのか:政策金利1.25%への利上げ

金融政策決定会合とは、日銀が年8回開き、政策金利などの金融政策の方針を決める会議です。2026年9月17〜18日に開かれた会合で、日銀は政策金利を1.00%程度から1.25%程度へ引き上げることを決定しました。

項目内容
決定日2026年9月18日
政策金利1.00%程度 → 1.25%程度
採決賛成7・反対2
前回の利上げ2026年6月(0.75%→1.00%)。3か月ぶりの追加利上げ
主な理由原油高・円安などが招く物価の上振れリスクの抑制
ポイント:2024年3月のマイナス金利解除以降、日銀はおおむね半年に1回のペースで利上げを進めてきましたが、今回は6月からわずか3か月での追加利上げとなり、利上げのペースが加速していることがうかがえます。政策金利が1.25%程度まで引き上げられたのは、1990年代半ば以来の水準とされています。

反対した2人の委員は、それぞれ異なる理由を挙げています。1人は足元の消費者物価(生鮮食品を除く)の上昇率が2%を下回り、経済も強いとはいえないとして据え置きを主張。もう1人は、経済・物価情勢がこれまでと比べて大きく加速しているわけではないとして、このタイミングでの利上げは適切ではないと主張したと報じられています。9人中2人の反対があったことは、今後の利上げペースについて委員のあいだでも意見が分かれていることを示しています。

植田総裁の会見と反対した2委員の主張

会合後の記者会見で植田総裁は、「物価上昇率を2%程度で安定させる観点が重要になり、政策の局面が変化した」と述べ、物価の上振れリスクに対応するために利上げに踏み切ったとの考えを示しました。

植田総裁は今後の方針について「2%の物価目標を安定的に達成するため、引き続き政策金利を引き上げる」と述べ、連続利上げや利上げ幅の拡大についても、物価の上振れリスク次第で「排除しない」との考えを示しました。

「排除しない」という表現は、次の一手を確約するものではありませんが、状況次第では利上げのペースがさらに速まる可能性があることを示唆しています。ただし、これはあくまで会見での発言であり、実際の次回以降の判断は、今後公表される経済指標や物価動向を踏まえて行われます。断定的な見通しとして受け取らないよう注意が必要です。

反対票の中身:反対した2人の委員のうち1人は、生鮮食品を除く消費者物価の上昇率がまだ2%を下回っており、経済も力強いとはいえない段階での利上げに慎重な姿勢を示しました。もう1人は、経済・物価情勢に今回の利上げを正当化するほどの明確な加速は見られないとして反対しています。賛成多数ではあるものの、全会一致ではないという事実は、今後の政策運営を占ううえで押さえておきたいポイントです。

利上げなのに円安?為替市場の反応

「利上げ=円高」というイメージを持つ人は多いかもしれませんが、今回はやや異なる反応が見られました。会合結果の公表後、外国為替市場では円が売られ、ドル円は一時158円台まで下落(円安方向)したと報じられています。

報道では、この背景として2票の反対が入ったことで、今後の追加利上げペースが加速するとの観測がかえって後退したことが挙げられています。利上げ自体は事前に市場でほぼ織り込まれていたため、「利上げが決まったこと」よりも「反対票が2つあったこと」による今後のペースへの見方の変化が、為替の反応を左右した形です。

ポイント:金利と為替の関係は「利上げ=即・自国通貨高」という単純な図式では説明できません。市場は決定の中身(採決の内訳・総裁発言のトーン)まで織り込んで反応するため、ニュースの見出しだけでなく会合の詳細まで確認することが大切です。円安の動きが続いた場合、輸入物価を通じてじわじわと生活コストに影響する可能性があり、今後の為替の推移は引き続き注視が必要です。

プラス面:預金金利の上昇

利上げの恩恵をまず受けるのが、預金金利です。日銀の利上げを受け、三菱UFJ・三井住友・みずほのメガバンク3行は、普通預金金利を0.4%から0.5%へ引き上げることを発表しました(2026年11月2日から適用予定)。ゆうちょ銀行も通常貯金の金利を0.1%引き上げ、年0.5%とする予定と報じられています。あわせて、一部のネット銀行では10月から金利を引き上げる動きも出ており、あおぞら銀行のBANK口座では100万円までの残高に年1.2%を適用する例も報じられています。

金融機関普通預金金利の動き適用時期(報道ベース)
三菱UFJ・三井住友・みずほ0.4% → 0.5%2026年11月2日〜
ゆうちょ銀行→ 0.5%(+0.1%)2026年11月9日〜
あおぞら銀行(BANK口座)1.2%(100万円まで)2026年10月1日〜

この金利水準がどれだけの効果を持つか、あくまで一例として試算してみます。

試算例(普通預金100万円を1年間預けた場合・税引前)

金利0.001%(超低金利時代の目安)の場合:利息は約10円

金利0.1%の場合:利息は約1,000円

金利0.5%(今回引き上げ後のメガバンク水準)の場合:利息は約5,000円

金額としては大きくありませんが、超低金利時代の0.001%水準と比べると、利息は500倍になる計算です。「金利のある世界」への変化を、預金というもっとも身近な形で実感できる場面といえます。ただし、この試算は税引前の単純計算であり、実際には利息に対して約20%の税金がかかる点、また金融機関・口座の種類によって適用金利や条件が異なる点には注意が必要です。

あわせて、円安に歯止めがかかれば、輸入原材料や食品などの物価上昇が和らぐ可能性があるとされ、過度なインフレを抑える効果も利上げの狙いのひとつです。前章で見た通り今回は円安方向への反応も出ており、この効果がどの程度発揮されるかは今後のデータで確認していく必要があります。

マイナス面:住宅ローンなど借入コストの増加

一方で、借りる側にとっては負担増の要因です。変動金利型の住宅ローンは、日銀の政策金利→銀行の短期プライムレート→住宅ローンの基準金利、という順番で影響を受けます。三菱UFJ銀行は今回の会合を受け、短期プライムレートの改定を発表しており、住宅ローンの基準金利についても見直しが行われる見通しです。他の金融機関でも同様の見直しが順次進むとみられますが、実際に新規借入の金利へ反映される時期は金融機関によって異なり、数か月先になる見込みです。

既存の借入への影響:すでに変動金利で借り入れている人は、多くの金融機関で採用されている「5年ルール」(毎月の返済額の見直しは5年に1度)・「125%ルール」(見直し後の返済額の上限は従前の1.25倍まで)により、返済額がすぐに変わるわけではありません。ただし返済額の内訳で利息の占める割合は増えていくため、元金の減り方には影響が出ます。詳しい仕組みは前回記事で解説しています。

実際にどの程度の影響になるのか、これから新規に借り入れるケースを例に、元利均等返済の計算式で試算します。

試算例(借入3,000万円・返済期間35年・元利均等返済・ボーナス払いなし)

金利1.00%の場合:毎月の返済額 84,686円(総返済額 約35,568,000円)

金利1.25%(+0.25%)の場合:毎月の返済額 88,226円(総返済額 約37,055,000円)

差額:毎月+3,540円・総返済額で約149万円の増加

0.25%という数字だけを見ると小さく感じますが、35年という長期間・3,000万円という借入額では、総返済額ベースで100万円を超える差になります。住宅ローンだけでなく、自動車ローンや教育ローンなど、他の借入商品の金利にも同様の上昇圧力がかかる可能性がある点にも注意が必要です。

さらに、企業にとっても借入コストの増加要因となります。企業の資金調達コストが上がれば、その負担が商品・サービスの価格に転嫁される形で物価に、あるいは賃上げの原資が圧迫される形で賃金に影響する可能性があり、家計への波及は住宅ローンだけにとどまらない点も押さえておきたいところです。

金利上昇時の返済額を確認

借入額・期間・金利を入力して、金利が変わった場合の返済額の変化を試算できます。

返済額の変化を試算する →

プラス・マイナスの整理と今後の焦点

ここまで見てきたプラス面・マイナス面を整理すると、次のようになります。

今後の焦点としては、植田総裁が示した「連続利上げや利上げ幅拡大も排除しない」との方針が、次回以降の会合でどう具体化するかが挙げられます。市場では追加利上げの可能性を意識する見方がある一方、今回2票の反対が入ったことで、ペース加速への観測がかえって後退したとの報道もあり、先行きを一方向に決めつけない姿勢が重要です。あわせて、住宅ローンの基準金利改定の時期や、各金融機関の預金金利の追随状況も、引き続き確認しておきたいポイントです。

よくある質問

Q. 政策金利が上がると、すぐに自分の住宅ローンの返済額も上がりますか?

A. すぐには変わらないのが一般的です。多くの変動金利型ローンでは、金利の見直しと返済額の見直しにタイムラグがあり(5年ルール)、さらに見直し後の返済額にも上限(125%ルール)が設けられています。ただし返済額の内訳で利息の占める割合は増えていくため、元金の減り方には影響が出ます。ご自身の契約内容は金融機関の案内・契約書でご確認ください。

Q. 預金金利はどのくらい上がりますか?

A. 報道では、メガバンク3行が普通預金金利を0.4%から0.5%へ引き上げる(2026年11月2日〜)、ゆうちょ銀行も0.5%へ引き上げるといった動きが確認されています。金融機関によって時期・水準は異なり、ネット銀行など、より高い金利を提示する商品もあります。最新の金利は各金融機関の公式発表でご確認ください。

Q. 利上げしたのに、なぜ円安になったのですか?

A. 報道では、利上げ自体は事前に市場で織り込まれていた一方、9人中2人の反対票が入ったことで、今後の追加利上げペースが加速するとの観測がかえって後退したことが、円安方向への反応につながったと説明されています。金利と為替の関係は単純ではなく、採決の内訳や総裁発言のトーンまで市場は織り込みます。

Q. 今後さらに利上げされる可能性はありますか?

A. 植田総裁は会見で、物価の上振れリスク次第では連続利上げや利上げ幅の拡大も「排除しない」との考えを示しました。ただし、これは方針を示したものであり、実施を確約するものではありません。今後の経済指標や物価動向を踏まえて判断されるため、断定的な見通しは避け、日本銀行の公式発表で最新情報をご確認ください。

Q. 借入と預金、どちらの影響が大きいですか?

A. 世帯によって異なります。住宅ローンなど大きな借入を抱えている世帯では負担増の影響が相対的に大きくなりやすく、預貯金を中心に資産を保有している世帯では金利上昇のプラス面を受けやすくなります。ご自身の借入残高・預貯金額を数字で把握し、両方の影響を確認しておくことが判断の出発点になります。

今回の利上げは、預金金利の上昇という家計にとってのプラス面と、住宅ローンなど借入コストの増加というマイナス面を同時に伴うものです。どちらか一方だけを見て一喜一憂するのではなく、ご自身の借入残高・預貯金額を数字で確認し、両方の影響を把握しておくことが、金利のある世界と付き合っていくうえでの出発点になります。

FP
Life Asset FP編集部

住宅ローン・資産運用・老後資金・金融政策の読み解きなど、暮らしに直結するお金の知識を発信しています。特定の金融商品の販売・仲介は行っておりません。

⚠️ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品・借り換え・投資判断を推奨するものではありません。数値・発言は日本銀行の公表資料および日本経済新聞・NHK・時事通信ほか各種報道機関の情報に基づくもので、2026年9月23日時点の情報です。今後の金融機関の発表・日銀の金融政策決定会合の結果により内容が変動する可能性があります。試算例は一定の仮定に基づく参考値であり、実際の返済額・利息額を保証するものではありません。金利の適用時期・見直しルールは金融機関および契約内容により異なるため、実際の条件はご自身の契約書・金融機関の案内でご確認ください。当サイトは金融商品取引業(投資助言業)の登録を受けておりません。

🤖 AI生成コンテンツを含みます。数値は日本銀行の公表資料および日本経済新聞・NHK・時事通信ほか各種報道機関の公表情報に基づきます(2026年9月23日時点)。最新情報は日本銀行・各金融機関の公式サイトをご確認ください。