11月4日の東京市場では、日経平均が一時2,000円を超えて下がり、終値は893円安の6万2,188円でした。
この記事では、①選挙で何が決まったのか、②なぜ株が売られたのか、③過去の中間選挙のあとに株はどう動いたのか、④私たちの家計や新NISAにどう関係するのか、を順番に整理します。なお、選挙結果は11月4日時点の速報で、一部の議席はまだ確定していません。
中間選挙とは?何が決まったのか
アメリカの中間選挙は、4年に1度の大統領選挙の「中間」、つまり2年目に行われる議会の選挙です。下院は全435議席、上院は100議席のうち約3分の1が改選されます。大統領の2年間の仕事ぶりに対する「通信簿」とも言われます。
選挙前は、上院・下院ともに与党・共和党が多数派でした(上院は53対45)。今回の速報では、次のように伝えられています。
| 議会 | 選挙前 | 今回の速報(11月4日時点) |
|---|---|---|
| 下院(435議席) | 共和党が多数派 | 民主党が多数派を奪還(米主要テレビ局が当確) |
| 上院(100議席) | 共和党53・民主党45 | 民主党が過半数(51議席以上)を確保とCNNが報道 |
上院と下院の違い
| 下院 | 上院 | |
|---|---|---|
| 議席数 | 435 | 100(各州2人) |
| 任期 | 2年(全員が改選) | 6年(2年ごとに約3分の1が改選) |
| 主な役割 | 予算や税金の法案を最初に審議する | 条約の承認、閣僚や裁判官などの人事の承認 |
法律は、上院と下院の両方で可決されて、大統領が署名してはじめて成立します。大統領は議会の法案を拒否できますが、議会も3分の2の賛成があれば、その拒否を覆せます。今回は民主党が両方を握る見通しのため、大統領と議会がお互いにブレーキをかけ合う形になります。
注目の州では、メーン州で民主党の候補が共和党の現職を破ったほか、共和党が強いテキサス州でも民主党の候補が勝ったと報じられています。トランプ大統領は「選挙結果を受け入れる」と述べたと伝えられています。
議席数は、報道機関によって集計の基準が違い、まだ確定していない選挙区もあります。最終的な数字は、今後の確定報道で確認が必要です。
民主党が勝った理由
米ワシントン・ポストなどは、有権者の不満の理由として、主に次の2つを挙げています。
- 1物価の高さ。食料品や生活費の値上がりへの不満が、与党への批判につながりました。
- 2イランとの戦争。中東での軍事衝突が長引いていることへの不安です。原油価格の上昇を通じて、物価にも影響しています。
中間選挙では、大統領の党が議席を減らすことが多いのがアメリカの歴史的な傾向です。ただ今回は、テキサス州のように共和党が強い州でも議席を失っており、報道では「トランプ政権への審判」と受け止められています。
市場の反応:なぜ株が売られたのか
開票が進み、民主党の優勢がはっきりするにつれて、株価は下がりました。
| 市場 | 動き |
|---|---|
| 米国株の先物(夜間取引) | S&P500先物が一時1.3%ほど下落、ナスダック100先物は一時2.2〜2.4%下落。その後、下げ幅を縮めた |
| 日経平均(11月4日) | 一時2,000円超下落。終値は62,188円(−893円・−1.42%) |
| ドル円(11月4日) | 1ドル158円台。円安方向 |
売られた主な理由として、報道では次の3つが挙げられています。
① AI・データセンターへの逆風の心配
米CNBCは、民主党が勝つとデータセンターの建設を制限する動きが全国に広がるとの見方から、AI関連株の売りが強まる可能性を指摘しました。データセンターは電気や水を大量に使うため、地域によっては反対の声が出ています。もともとAI関連株は下がっていたところだったので、そこに追い打ちがかかった形です。
② 税金・予算・規制の先行きが読みにくい
議会と大統領の党が違うと、税金や予算の話し合いが難しくなります。米国の政府が借りられるお金の上限(債務上限)の交渉が難航するのではないか、という心配も出ています。
③ 防衛関連への影響
民主党が議会を握ると、防衛費の伸びが抑えられるのではないかという見方もあり、防衛関連株にも売りが出る可能性が指摘されています。
東京市場では、指数への影響が大きい半導体・AI関連の銘柄が大きく下げ、日経平均を押し下げました。午前の時点では、3つの銘柄だけで日経平均を約1,241円押し下げたと報じられています。
過去の中間選挙のあと、株はどう動いたか
「選挙で株が下がったなら、このあとも下がるのでは」と不安になる人もいるでしょう。参考までに、過去の中間選挙のあとの米国株の動きを見てみます。
| 調べた機関・期間 | 中間選挙後12か月の米国株(平均) |
|---|---|
| 1950年以降の19回(10月末から12か月) | 平均+16.6%。19回すべてで上昇 |
| 1874年以降の38回(選挙日から12か月) | 平均+14%。上昇したのは84% |
| 米USバンクの集計(1900年以降) | 平均+12.4% |
どの集計でも、中間選挙のあとの1年は、平均すると株が上がった年が多いという結果です。理由としては、選挙が終わって先行きの不透明さが減ることや、議会が「ねじれ」になると極端な政策が通りにくくなることが挙げられます。ウォール街は伝統的に、ねじれ議会を好むとも言われてきました。
これから注目したい4つのポイント
- 1最終的な議席数。上院・下院でどれだけの差がつくかで、民主党が進められる政策の幅が変わります。
- 2予算と債務上限の交渉。交渉が難航すると、米国債や株式市場が不安定になることがあります。
- 3AI・データセンターへの規制。電力や水の使い方、地域の合意などのルールがどう変わるかは、AI関連企業の投資計画に影響します。
- 4イランとの戦争と原油価格。報道によると、トランプ大統領は選挙後の行動を示唆しています。原油価格は、日本のガソリン代や電気代にも直結します。
AI関連株の急落そのものについては、別の記事で詳しく整理しています。米中のAI競争や国防の観点から、「この先どう考えればよいか」をまとめました。
家計と新NISAへの影響
円安と物価
11月4日のドル円は1ドル158円台で、円安が続いています。米国の政治が不安定になったり、原油が上がったりすると、輸入品の値段を通じて日本の物価にも影響します。ガソリンや電気代、食料品の値段の動きには、引き続き注意が必要です。
新NISAで米国株や全世界株を積み立てている人へ
米国株を多く含む投資信託の値段は、選挙のニュースで短期的に上下することがあります。ここで大切なのは、次の3つです。
- 1選挙の結果で慌てて売らない。政治のニュースによる値動きは、数日から数週間で落ち着くことも多くあります。
- 2積み立ての目的と期間を確認する。10年、20年先に使うお金なら、1日の値動きよりも長い目で見ることが基本です。
- 3生活防衛資金は預金で持つ。値動きのある資産に、近いうちに使うお金を入れないことが、慌てて売らないための一番の備えになります。
積立を続けた場合の資産の推移を確認
毎月の積立額・利回り・期間を入れて、将来の資産額の目安を試算できます。
よくある質問
Q. 中間選挙の結果は、もう確定したのですか?
A. 11月4日時点では、米主要メディアが「民主党が上下両院で多数派」と報じていますが、一部の選挙区はまだ確定していません。最終的な議席数は、今後の確定報道で確認してください。
Q. 「ねじれ議会」になると、何が変わりますか?
A. 法律や予算は議会を通らないと成立しないため、大統領の政策が進めにくくなります。一方で、極端な政策も通りにくくなるため、市場では「先が読みやすい」と前向きに受け止められることもあります。新しい議会は2027年1月から始まります。
Q. 選挙で株が下がったので、投資をやめたほうがいいですか?
A. 一概には言えません。過去の中間選挙のあとの1年は、平均すると米国株が上がった年が多いというデータがありますが、将来を保証するものではありません。大切なのは、選挙のニュースではなく、ご自身の目的・期間・生活防衛資金の状況で判断することです。この記事は特定の売買をすすめるものではありません。
Q. 日本の家計への影響は?
A. 主な経路は、円安と原油価格です。米国の政治や中東情勢が不安定になると、円安や原油高を通じて、ガソリン代や電気代、輸入食品の値段に影響する可能性があります。
選挙のあとは、ニュースの見出しが大きくなり、株価も大きく動きやすくなります。こういうときこそ、自分のお金の「目的」と「使う時期」をもう一度確認しておくと、落ち着いて判断できます。