「月の返済額は変わってないから大丈夫」
——変動金利が上がっても、そう思っていませんか?
実はこれ、危ないかもしれません。
地方在住・戸建て・42歳・子3人のAさん(借入2,700万円・30年ローン)のケースを元に、見えにくいリスクの正体と具体的な対策をFP目線で整理します。
この記事の対象読者: 地方在住で戸建てを購入し、JA・地銀・信金などの変動金利ローンを組んでいる30〜50代の方。借入2,000〜3,000万円台のケースに特に当てはまります。
「大丈夫」の正体——5年ルールの落とし穴
変動金利が上がっても月の返済額が変わらないのは、「5年ルール」という仕組みがあるからです。
金利が変わっても、毎月の返済額は5年間据え置きになるルール。さらに返済額を変更する場合でも、前回の1.25倍が上限(125%ルール)。
つまり「月の返済額が変わっていない」のは保護されているからではなく、単に変更が先送りされているだけです。
落とし穴: 返済額が変わらないまま金利が上がると、毎月の支払いのうち利息の割合が増え、元本の減りが遅くなります。 気づかないうちに、残高が長く残り続けるのです。
Aさんの実態:元本が減っていない
Aさんの金利は借入時0.75%から現在1.05%、今年7月には1.35%になる予定です。月の返済額は5年ルールで今のところ変わっていません。しかし内訳はこう変わっています。
| 金利 | 月返済額 | うち利息分(初月目安) | 元本返済分 |
|---|---|---|---|
| 0.75%(借入時) | 約83,700円 | 約13,200円 | 約70,500円 |
| 1.05%(現在) | 約86,500円 | 約18,500円 | 約68,000円 |
| 1.35%(7月〜) | 約89,500円 | 約23,800円 | 約65,700円 |
月々の元本返済額が70,500円→65,700円に減っています。差額は月4,800円。年間にすると約57,600円分、元本の減りが遅くなっている計算です。
金利が上がるほど「利息に取られる割合」が増え、元本が減りにくくなります。これが積み重なると、残高が予想より長く残ります。
最大のリスク——定年後も5年返済が続く
Aさんのローンは65歳完済の設計です。ところが定年は60歳。つまり繰上返済をしなければ、定年後も5年間、ローン返済が続きます。
定年後5年間の返済継続は家計の大きな負担です。 再雇用・パート・年金で月89,500円のローン返済を続けられるか、今から試算しておく必要があります。
繰上返済vs固定切替、どちらが得か
「金利が上がったから固定に変えよう」と飛びつく前に、コスパを比較してみます。
| 対策 | 効果 | コスト | FP評価 |
|---|---|---|---|
| 繰上返済100万円(期間短縮) | 総利息▲34万円・1年3ヶ月短縮 | 手数料ほぼ無料 | ★★★★★ 最優先 |
| 固定金利へ切替(10年固定2.0%) | 金利上昇リスクを回避 | 月+6,400円・総額+177万円増 | ★★★☆☆ 要検討 |
固定に切り替えると安心感は得られますが、現在の変動1.35%に対して固定2.0%は差額0.65%分を「安心の保険料」として払い続けることになります。残23年・2,120万円では総額177万円の追加負担です。
FPの見立て: まず繰上返済で残高を圧縮し、定年時の残高を500万円以下にすることが最優先。固定切替はその後に検討しても遅くありません。
今すぐできる対策
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①生活防衛費(月支出×6ヶ月)を確保してから繰上返済
教育費・修繕費の急な出費に備えた上で、余剰資金を100万円単位で繰上返済(期間短縮型)へ。定年時の残高を500万円以下に抑えることを目標に。
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②保険・通信費の見直しで月1〜2万円の返済余力を作る
生命保険は公的保障(遺族年金・傷病手当金)を確認した上で整理。スマートフォン4回線を格安SIMへ変更するだけで年間10〜15万円の削減余地が生まれることも。
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③固定切替の損益分岐点をFPと一緒に試算する
「変動か固定か」は残高・残年数・家計の余裕度によって答えが変わります。一度FPと数字を整理してから判断しても遅くありません。
月の返済額が変わっていなくても、元本の減り方は確実に変わっています。まず「今の残高と定年時の残高予測」を確認することが、対策の第一歩です。