一方、同じ7月の各社世論調査では、内閣支持率が軒並み急落。時事通信の調査では政権発足後初めて50%を下回る49.0%となりました。物価高対策のはずの減税表明と、支持率下落が同時に進んでいるのはなぜか。
この記事では、今回の減税の中身、支持率下落の背景、そして物価高・円安の実感と政策のあいだにあるズレを、公表データ・報道をもとにFPが整理します。
何が決まったのか:食料品消費税「1%」の中身
日本の消費税は現在、標準税率10%に対し、食料品(酒類・外食を除く)には軽減税率8%が適用されています。今回表明されたのは、この食料品の税率を8%から1%へ、2027年4月から2年間限定で引き下げるという方針です。
高市首相は7月28日に自民党の麻生副総裁・鈴木幹事長へ方針を伝達し、7月30日に正式表明。政府は8月上旬にも方針を閣議決定し、秋の臨時国会に関連法案を提出する見通しとされています。
なお、外食(レストランでの飲食など)はもともと軽減税率の対象外で標準税率10%が適用されており、今回の1%への引き下げの対象にも含まれません。この点は外食事業者への影響として後述します。
「来年4月から」「2年後には8%に戻る」の意味
今回の減税で見落とされがちなのが、実施開始が「来年4月」= 表明から約8か月先である点です。物価高が今まさに家計を圧迫している中で、恩恵を実感できるのはしばらく先ということになります。
さらに高市首相は表明にあたり、「2年後には元に戻す。これははっきり申し上げておく」と明言しており、2029年4月には税率が8%に戻る、時限的な措置であることも明確にされています。
| 時期 | 食料品の消費税率 | 備考 |
|---|---|---|
| 現在(2026年7月時点) | 8% | 軽減税率、外食・酒類は対象外 |
| 2027年4月〜2029年3月 | 1% | 2年間の時限措置。残り1%は現金給付で補う案 |
| 2029年4月以降 | 8%に復帰 | 首相が「元に戻す」と明言 |
地方自治体にとっても、この減税は年間約1.6兆円の減収要因になると試算されており、財源の手当てや地方財政への影響も今後の焦点になります。
内閣支持率はなぜ急落したのか
2026年7月の各社世論調査では、内閣支持率の下落が相次いで報じられました。
| 調査機関 | 7月の支持率 | 前月からの変化 |
|---|---|---|
| 時事通信 | 49.0% | ▲5.3ポイント、発足後初めて50%割れ |
| 日本経済新聞 | 58% | ▲10ポイント |
| 日本テレビ・読売新聞 | 57% | 政権発足以来最低 |
特徴的なのは無党派層の支持離れです。時事通信の調査では、無党派層の支持率が6月の54%から7月には41%まで急落し、不支持は30%から47%へと増加したと報じられています。
今回の食品減税表明は、まさにこうした支持率下落のさなかに行われました。「物価高対策」を打ち出すこと自体は自然な流れですが、実施が来年4月からと先であることが、即効性を求める世論とのギャップとして指摘されています。
物価高・円安の実感と政策のズレ
支持率下落の背景には、生活実感としての物価高・円安があります。2026年6月の全国消費者物価指数(コアCPI)は前年比+1.6%で、5か月連続で2%を下回る水準ですが、品目別に見ると実感はまだら模様です。
為替も家計に影響する要因です。2026年7月30日のドル円相場は163円台後半で推移し、日中には163円台前半まで下落する場面もありました。円安は輸入原材料コストを通じて、じわじわと食品・日用品価格に波及します。
減税をめぐる世論そのものにも、政府方針とのズレが見られます。6月の調査では、食料品の消費税について「0%にすべき」が40.7%と最多だったのに対し、政府・与党が採用した「1%」への支持は29.4%にとどまりました。「減税は不要」との回答も22.1%あり、世論は一枚岩ではありません。
加えて、「減税による値下がり分は、その後の値上げで1か月程度で相殺されてしまうのでは」との指摘も報道されています。外食が対象外であることも含め、「決定」と「生活実感」のあいだにはまだ距離がある状況です。
家計にとっての影響を試算してみる
実際にどの程度の負担軽減になるのか、あくまで一例として試算してみます。
月の食料品購入額(税込み)を66,000円と仮定した場合:
税抜き価格 = 66,000円 ÷ 1.08 ≒ 61,111円
現行8%の消費税額 = 61,111円 × 8% ≒ 4,889円
引き下げ後1%の消費税額 = 61,111円 × 1% ≒ 611円
差額 = 4,889円 − 611円 ≒ 月4,278円・年間約51,000円の負担減(現金給付分は含まず)
この試算はあくまで一例であり、実際の負担軽減額は各世帯の食料品支出額によって変わります。また実施は2027年4月からであり、それまでの物価上昇分は含まれていない点にも注意が必要です。
物価変動を織り込んだ家計・資産の見通しを確認
インフレ率や税制変化を踏まえたライフプラン全体の試算ができます。
今後の注目ポイント
- 18月上旬の閣議決定の内容:現金給付の対象範囲・給付額など、実質ゼロ化の詳細が固まるかどうか。
- 2秋の臨時国会での法案審議:減税の法制化がスケジュール通り進むか。
- 3地方財政への手当て:年間約1.6兆円とされる地方の減収分をどう補うか。
- 4外食事業者向けの資金繰り支援:減税対象から外れる外食産業への予算措置の中身。
- 5今後の世論調査の推移:減税方針の具体化が支持率に反映されるかどうか。
よくある質問
Q. 食料品の消費税は、いつから1%になりますか?
A. 2026年7月30日時点の政府方針では、2027年4月から2年間限定で1%に引き下げられる予定です。方針は8月上旬に閣議決定される見通しで、その後、秋の臨時国会で関連法案が審議されます。今後の国会審議次第で内容が変更される可能性もあります。
Q. 外食(レストランでの食事など)も減税の対象ですか?
A. 対象外です。外食はもともと軽減税率(8%)の対象ではなく標準税率10%が適用されているため、今回の1%への引き下げにも含まれません。外食事業者への影響を懸念する声を受け、資金繰り支援など別の予算措置が検討されています。
Q. 「実質ゼロ化」とはどういう意味ですか?
A. 税率そのものは1%まで下げつつ、残る1%分の税負担については、中低所得世帯を対象に現金を給付することで、実質的な負担をゼロに近づけようとする案です。ただし対象者の所得基準や給付額など詳細は、本記事執筆時点では確定していません。
Q. なぜ内閣支持率は下がっているのに、減税を打ち出したのですか?
A. 報道では、物価高への対応が遅れているとの批判や支持率下落への危機感が、減税表明を後押しした面があると指摘されています。一方で実施が来年4月からと先であることや、外食が対象外であることなど、即効性を求める世論とのズレも同時に報じられています。
食料品消費税の引き下げは、家計にとって歓迎できる方向性である一方、実施時期・対象範囲・財源など未確定な部分も多く残っています。数字と実施スケジュールの両方を確認しながら、家計への影響を見極めていくことが大切です。